黒部川 赤木沢
黒部川水系黒部川 神岡新道~黒部五郎岳(2839.6m)~五郎沢下降~赤木沢遡行~神岡新道
自主山行
沢登り
メンバー:CLニンニン、SLひらちゃん(記)、のりさん、ゆきむし、やんやん、しんちゃん
コースタイム
8/26(土)
4:45飛越トンネル→6:35飛越新道・神岡新道分岐→8:35北ノ俣避難小屋8:50→10:45北ノ俣岳→14:30黒部五郎岳→15:10五郎カール(入溪準備)15:50→(五郎沢右俣下降)→18:20五郎沢出合
8/27(日)
6:20五郎沢出合→(黒部川源流下降)→7:40赤木沢出合→(赤木沢遡行)→10:00大滝→11:20源頭(装備解除)12:00→12:10中俣乗り越し→13:25北ノ俣岳→15:05北ノ俣避難小屋15:25→17:20飛越新道・神岡新道分岐→19:30飛越トンネル
ヒル情報:なし
フリクション:非常によい(ラバーソール推奨)
温泉情報:ひだまりの湯(高山市内)名古屋方面に帰る場合、下山が遅い場合はココしか無い(22:45まで営業)
※赤木沢を楽しみたい場合には、折立~薬師沢小屋泊で行くことを強く推奨。
※飛越トンネル~神岡新道、ビバーク装備有りは体力が有り余っていても行程が非常に長いため疲労が激しく、下山の翌日は休養日にすることが望ましい。
赤木沢と言えば、折立から入り薬師沢小屋で一泊し日帰り装備で赤木沢を遡行するのが一般的。
今回は途中でのビバーグを前提に、飛越トンネルから入り飛越新道・神岡新道から入り、五郎沢を下ってから赤木沢を遡行することとした。
神岡新道のぬかるみや距離の長さ、ビバーグ装備有りと、タフな要素満載なルートから赤木沢にチャレンジした。
8/25(金)
夜から翌日午前にかけて降水予報。しかし、翌日土曜日午後から日曜日にかけて晴れ予報。
日付が変わる前に飛越トンネル前の駐車場に到着し、雨が降る前にテントを張り、早々に仮眠をとった。
8/26(土)
3時に起床してみると、ザーザーと降りしきる雨。これで出発するのかと気持ちは下がり、準備をしながらしばらく様子を見ることに。
少し雨が止んできたところで、あまり出発を遅らせられないため4:45に出発。
雨の中、飛越新道を登る。所々ぬかるみがひどく、ぬかるみをよけながら登って行く。
ネットでは長靴推奨との情報もあるが、ハイカットの登山靴とスパッツがあれば問題は無い。
長靴で安心と思ってぬかるみに足を入れると、30cm位足がはまることがあるので用心すること。
神岡新道に入ると、雨は収まってきたがぬかるみはさらにひどく、道が小川になっている。
北ノ俣避難小屋では長靴やスパッツを袋に入れてデポ。このときは既に雨は止んでいた。
北ノ俣避難小屋から北ノ俣岳に登るが、結構長い。心を無心にして登る。
北ノ俣岳まで6時間歩いたが、まだ行程の半分しか歩いていない。
北ノ俣岳~黒部五郎岳間は、すっかり天気が回復し、穂高や槍、笠ヶ岳等の山々がくっきりと見え、北アルプスの景色のすばらしさを感じながら黒部五郎岳まで黙々と歩いた。
黒部五郎岳から黒部五郎小舎に向かう登山道を下り、五郎沢右俣と登山道が分かれるところで沢装備を装着する。
ここから五郎沢出合までの間に、綺麗な水をくめる枝沢がほとんど無いため、可能であれば五郎沢右股と登山道が分かれるあたりで水を汲んでおくとベター。
ここからは五郎沢右俣の下降。
五郎沢右俣は流心を下る。草付きは足下が見えにくく、大きな凹みや岩が隠れており歩きにくい。
五郎沢右股の下りはロープを使用する箇所無しで、五郎沢出合までひたすら流心を下る。
大きな岩がたくさんあるため、かなり足や膝にダメージが来る。
五郎沢出合近くなってきたら18時を回り、ビバーク適地を探した。
五郎沢出合から五郎沢に50m程度入った左岸側にビバーク適地発見。
朝方降り続いた雨の影響で薪はなかなか着火せず、夕食はガスで作った。
桜エビを効かせた海藻サラダと、カボチャシチューとご飯というシンプルなメニュー。
食事を始める頃にようやく薪に着火した。
本日は13時間半歩き、くたくた。翌日も朝は早い。
宴会などしている余力はあるはずもなく、早々に就寝した。
8/27(日)
朝4時起床。5時に出発予定だったが、余りの寒さに出発を6時に遅らせることとした。
下が凍っており、どうやら最低気温は氷点下になったようだ。
皆、軽量化のためぺらぺらの寝袋やシュラフカバーで寝ており、寒くて何度も目が覚めたメンバーがほとんどだった。
6:00前に、0:00に折立を出発し薬師小屋経由で源流を遡行してきたカップルがやってきた。
余りの寒さで体が冷え切っており、我々の焚き火にあたり凍えた体を温めていた。
6:20に幕営地出発。
前日の13時間半行動で体はかなり疲労しており、気温が低く低体温症になりやすい環境だったため、可能な限り水に入らないようにして黒部川源流を下る。
赤木沢出合が近づいてくる頃には日が出てきて、暖かくなってきた。
源流から赤木沢出合に下る場合、赤木沢出合は左岸側から下るとあまり濡れず(膝までは濡れる)に行ける。右岸側だと全身濡れる可能性有り。
赤木沢出合のナイアガラの滝で記念写真を撮ってから、赤木沢に入る。
赤木沢出合からの釜は左岸側をへつればザックの下部が濡れる程度、左岸側の岩をトラバースすれば濡れずに出合の釜を越えられる。
赤木沢遡行開始時点で既にかなりのお疲れ具合。
しかし、赤木沢の開けた美しさは格別で、疲れを「ある程度」吹き飛ばしてくれる。
水、ナメ、滝、釜、山並み、どれをとっても美しい。
黒部の銘渓と言われるほどの絶景、余力があれば釜に飛び込み、滝を直登しながら沢を楽しみたい。
我々は下山時間と体力を気にしつつ、大きな滝は巻きながら登る。
赤木沢は技術的に難しい箇所がないためどんどん進んでいく。
巻き道はどこも非常にはっきりしており、迷うことはない。
最後の大滝も巻き道から巻き上がる。
我々のタイムで行くと、赤木沢出合から大滝の上部までがおよそ2時間半、赤木沢出合から源頭部までがおよそ3時間だった。
赤木沢は楽しいが一瞬で終わるのが寂しい。
源頭部でギアを解除して、中俣乗り越しへ。
早く下山したい場合、又は大滝から上部をパスしても良い場合は、大滝を巻き上がったら最初の3:2で右俣に入ると赤木岳~北ノ俣岳間の鞍部に出る。
今回は律儀に遡行し中俣に出たが、次回は大滝を巻き上がったら赤木岳~北ノ俣岳間のコルを目指したい。
赤木岳を過ぎたあたりからガスが出てきて、暑さもなく気温だけは快適な下山。
北ノ俣岳から疲れ切った足に鞭を入れつつ下る。
神岡新道から飛越新道に分岐したあたりから周囲は暗くなり、ヘッドランプを使用しての下山。
所々にコースタイムを記載した看板があるが、あれは日帰り装備で日帰りの健脚が歩いた場合のタイムだろう。我々にはとても参考にはならなかった。
へとへとになりながら19:30に飛越トンネルに下山。
長くタフな山行がようやく終わりを告げた。
飛越新道から高山経由で名古屋に戻る場合、通常であれば神岡町を過ぎたところにあるスノーシュプール緑風リゾート流葉で風呂と食事をして帰るのだが、今回は下山が遅くなったため温泉は高山市内のひだまりの湯で入浴し、帰名した。
名古屋着が25時頃で、翌日月曜日は疲労が仕事に響いた。
ビバーク装備で五郎沢下降、赤木沢遡行をしたことは非常に良い経験で、思い出深い遡行となった。
次回は、赤木沢を思い切り楽しむため、折立発着の薬師沢小屋泊、日帰り装備での沢登りとしたい。